結納

キレイ学のススメ ~ビューティー14~

ビューティー14|西村有紀子 キレイ学のススメ

エコシフト

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメはコピーライターでありクリエイティブディレクターの、マエキタミヤコ氏の『エコシフト』です。「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表や「ほっとけない世界のまずしさ~ホワイトバンド」キャンペーン実行委員を務めるなどし、エコロジーに関しても著書多数の活動家です。
一見、環境問題と世界の貧困問題は別の次元のことと捉えがちですが、本書を読み進むと、それらの問題が密接に絡み合い、環境保護のためには貧困地域の自立支援が急務であることが分かります。そして、環境、貧困をサポートするNGOに、良識のある我々大人たちは目を向け、支える義務があると感じます。
本書の巻末におもなNGO団体のリスト、環境、貧困問題を学ぶための書籍リストが添えられています。本書をきっかけに私たちが暮らす地球の問題から目をそらさず、改善の一歩を踏み出して欲しいと切に願います。現代の常識人として必読の1冊です。


アンダーラインポイント

「どうやって直すのかわからないものを、壊しつづけるのはもうやめてください」
とてもシンプルな彼女のメッセージは、その場にいた者だけでなく、世界中を駆けめぐって、ひとりひとりの生活者や政治的なリーダーの心を動かしました。

環境を守るために積極的にアクションを起こすことのあいだには、まだ飛び越えなければならない深い溝があるようにも感じます。たしかに自然は大切だけど、自分ひとりが何かしたところで、大きな地球の規模からしたら、結局たかが知れているんじゃないか?だったら自分だけがんばることないや。そういうあきらめに似た感情です。個人と地球との距離感の問題、といってもいいかもしれません。

環境と貧困、この一見無関係に見える事象は、じつは深く関係しています。両方の根が「先進国の住民の情報不足に端を発する持続不可能な経済構造」にあるからです。
たとえば、それが有害だと知らずに有害物質を川に流せば、流域の生態系は破壊されてしまいます。同じように、それが貧困を生み出す商品だと知らずに買うことで、子どもが学校にも行けず、朝から晩まで低賃金で働かされているような劣悪な工場が増え、そこに持続不可能な貿易構造が生まれ、貧困と呼ばれる状態が現れます。

子どもの命が目の前で消えようとしている人に、地球環境を守ろうと言っても、聞いてもらえるわけはありません。先進国が真剣に環境問題に取り組もうとするとき、途上国の協力は不可欠です。だから、地球環境を守るためにも、先進国が貧困の解消を最優先事項にしなくてはならないのです。

それは「環境経済は可能だ」ということと、「発展途上の生活レベルを上げながら、先進国も低炭素で豊かな生活をする」という宣言でありました。

しかし、経済と環境は相反する概念ではありません。現在、環境を破壊しているおもな原因は経済にありますが、その状況を変え、人類の子孫がなんとか生き延びるためには、いまの「非環境経済」を「環境経済」に転換する必要があります。この転換を「エコシフト」と言います。

なぜそんなに環境活動や市民活動に一生懸命なの?と聞かれることがあります。私にとって自然環境や生態系を守り、民主主義を広げ、戦争をなくしていく活動は、大人だったらあたりまえ。そのために誰もやったことのないことをやったり、見たことのないものを作ったりして、人の意識を変える活動に、ついつい夢中になってしまうだけなのですが。

そして、ポリシー。政策と言ってもいいのですが、残念ながらまだ日本では、一般の人にとって「自分がやるのだ」という実感のない言葉です。どちらかというと、自分なんかがやっちゃっていいの、という感じかもしれません。

さらに国益を超える人類の生き残り、という話をしなければならないときにもNGOの力は欠かせません。NGOは自分たちの目標達成を手伝ってくれる人や資金を常に必要としています。

大量消費社会は環境破壊の元凶ですが、買うものをちょっと工夫することでエコシフトはできます。NGOへの会費も、これからのエコシフト世代にとってはお買い物の一品目教養ある大人なら誰でもひとつふたつぐらいのNGOをサポートしてもらいたいものです。


目次

まえがき
第一章 世界はこうしてエコシフトし始めた
第二章 コピーライターもエコシフト中
第三章 エコシフトにNGOは欠かせない
第四章 コミュニケーションをエコシフトする
第五章 100万人のキャンドルナイトとほっとけない世界のまずしさ
第六章 現在形のエコシフト
第七章 エコシフトのこれから
第八章 あなたもできるエコシフト
あとがき
エコシフトなNGOリスト
エコシフトのためのブックガイド

私も環境美容のNGOを作りたいです。

行動することが生きることである

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメは宇野千代氏の『行動することが生きることである』です。生涯現役、4度の結婚と離婚を経た恋多き女流作家の著者は私の最も好きな作家の一人です。東郷青児、北原武雄といった名だたる男性を夫として暮らした著者の、本人は気づいていないであろう女性としての魅力をその文面の中に感じずにはいられません。著者は、自身を可愛げがない、そのために男に捨てられてきた、と分析していますが、おそらくは、著者の人として器が、歴代の男性達を大きく上回ってしまったため、ともすれば男尊女卑の時代の男性には、御し難いと思われ、別離という選択をさせてしまったのではないかと思います。亡くなってもなお、私たち女性にエールを送り続ける本書は必読の1冊です。


アンダーラインポイント

頭で考えるだけのことは、何もしないのと同じことである。

自分から進んでその中に這入っていくことによって、私は傷つかないことを覚えた。

私たちは何事をするにも、私たちがそれに対して、一番最初に感じたことを思い出しましょう。

人というものは面白いもので、自分の思っていることを人に話したりするたびに、どうしてもこのことを実行したい、と切実に思うようになる。

忘れる、というのは、ほかにたくさん考えることがある、と言うことでもあった。いや、そうではない。若いときには、それがどんなに辛いことであっても、平気で忘れることが出来るものだからである。

幸福というものは、決して、現在の自分の環境が変わったとか、あるいは富の程度が変わったからということで感じるものではない。なぜかというと、幸福というものは客観断定にあらずして、主観の断定にあるからです。

「あたし、駄目なんです。生まれつき、文章なんて書けないんです」と言った自分の言葉が自分の耳に反射して、ほんとうに、自分のことを自分で駄目だと思うようになるのではないだろうか。嘘にでも冗談にでも、自分は駄目だなどと言ってはならない。自分は書ける、とそういい切ることである。
その言葉の反射によって、自分では思わず、自分は書ける、と思い込むようになる。謙遜は美徳ではなくて悪徳である。

何事をするのにも、それをするのが好き、と言う振りをすることである。それは、単なるまねでもいい。すると、この世の中に、嫌いなことも、また嫌いな人もなくなる。このことは、決して偽善ではない。自分自身を救う最上の方法である。

理解するとは何か。ただ、そのもの自身を尊敬することである。人々よ。あなたが何事をでも、理解することを望むのであったら、ただ、ただ、そのもの自身のことを、とことんまで尊敬することである。

真の愛情によって、相手の望んでいるものだけを与えることくらい、強いものはありません。

男と女の間を繋いでいるのは愛ではなく、自尊心なのかも分からないのです。

世の中には、その男と連関する、女のどの挙措動作をも、委細に逃がさず知りたがる女もいる。私はそんな人ほどには、勇気がなかったと言うのか。その種のどんな話も、聞くのがいやであった。出来ることなら、それらのどんな話も、知らずに済ませたかった。知らずにさえいれば、私にとっては、それらのどんなことも、ないのと同じであった。

仕事が次の仕事を生む、死ぬまで続けてこそ実を結ぶ。

とにかく、朝から晩まで、何かに追っかけられているような気持ちで、暮らすことは禁物である。いつでも、こっちから、追っかけるような気持ちでいることである。


目次

第一章 人生は行動である
第二章 幸福をはりめぐらせて生きる
第三章 人と人を結ぶものは善意である
第四章 愛は誰のためのものか
第五章 失敗しない結婚のために
第六章 健康は心がつくる
第七章 暮らし上手は生き上手
第八章 人生は死ぬまで現役

知らぬが花、と私も思うことがあります。

求めない

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメは早稲田大学英文科卒、信州大、横浜国大、青山女子短大に勤め、フォークナー、トウェインをはじめ数多くの翻訳・著作を手がける、加島祥造氏の『求めない』です。求めない-すると・・・ではじまる100以上の短句で綴られる加島ワールドです。読み手によって心に響くフレーズは違うものになるでしょう。
気に入った「求めない」の結果、起こる変化とは・・・を抜き出してみると、自分自身が今何から解放されたいと思っているのか、が浮かび上がってくるかもしれません。
人間は求めてしまうもの、その事実をいったん受け入れた上で、「求めない」価値を見出すことは豊かな人生への一歩なのだと思います。きれい学的には、とてもその趣旨に添った1冊と言えます。


アンダーラインポイント

誤解しないで欲しい。
「求めない」といったって、
どうしても人間は「求める存在」なんだ。
それはよく承知の上での
「求めない」なんだ。
食欲性欲自己保護欲種族保存欲
みんな人間の中にあって
そこから人は求めて動く-それを
否定するんじゃないんだ、いや
肯定するんだ。

求めない-
すると
いまじゅうぶんに持っていると気づく

求めない-
すると
改めて
人間は求めるものだ
と知る

求めない-
すると
心が広くなる

求めない-
すると
悲しみが消えてゆく

求めない-
すると
待つことを知るようになる

求めない-
すると
判断がフェアになる

求めない-
すると
求めない自分の勇気を知る

世の中のひとたちは
あまりに求めてばかりいる
君ひとり
求めないでごらん
珍しがられるから

求めない-
すると
求めなくっても平気だ
と知る

求めない-
すると
求めないほうがはるかに面白くなる

求めない-
すると
自分が大人になったのだと悟る
(どんなに年をとろうと求めるだけのひとは子どもだ)


目次

はじめに
求めない-すると
なぜこんな田舎にいるのかって?
あとがき
あんたがたどこさ

求めない-するとあなたのことがもっと好き。

幸せはバンビの法則から

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメは医学博士、農学博士でもありルーマニア名誉領事の佐藤富雄氏の『幸せはバンビの法則から』です。バンビの法則とは著者が実際に体験した話から導いてきた独自理論です。親をなくした小鹿(バンビ)に村の子供達が餌付けを始め、適切な時期に自然界に返さなかったせいで、バンビは自力で水を求めることすら出来ず、熱中症で死んでしまった。「甘えすぎない。可愛がられているうちに自立する。他人任せの幸せは本当の幸せではない」これが女性にとっての「バンビの法則」です。
自分の手で未来を切り開き、セレブリッチになる!という夢を実現する方法を、恋愛力学、コミュニケーション法、脳科学の側面から解き明かして行きます。自立している女性が最後には幸せをつかむ、という著者の論理には大賛成です。そして、セレブリッチな男性と結ばれて、相乗効果を狙うには?その答えを知りたい人におススメの1冊です。


アンダーラインポイント

自分に自信があるから他人と比較しない、コンプレックスにとらわれない、自分の心と直感を信じて行動する、というようになっていきます。
こんなふうに、デートに誘った女性がみなB級からA級へとグレードアップしていってくれると、男としてこれほど嬉しいことはありません。

男が仕事の成功を目指すとき、最も重要視しているのは、同性の反応です。周囲の男たちに認めてもらえなかったら、何一つとして事を起こすことはできないからです。
そうした意味で、「成功者の妻たる絶対条件は、夫の活動を邪魔しないことである。」ともいわれています。

「ありがとう」と心をこめていうだけでは、まだ足りない点もあります。次はあなたが誰かをもてなす側にまわり、その人から「ありがとう」といってもらうことによってはじめて、「ありがとう」が完結します。
心からの感謝がこもった「ありがとう」を相手の男性に100%確実に受け取ってもらえるようになるためには、あなた自身が誰かに「ありがとう」といわれてみないとはじまらないのです。

「おごられ体質」を悪化させないためには、その場その場で決着をつけることです。借りが大きく積み重ならないうちに、あなたにできる範囲で相手の男性にお返しをすればいいのです。

自分のお金で手に入れた品物は、人に買ってもらったときの数十倍の満足感をもたらします。その品物を身につけ手に持つたびに、「私は自分の力で夢を叶えた!」と心を喜ばせることができます。その喜びが自信と誇りを育み、女性の心はぐんぐん成長していきます。

女性も30歳を過ぎたなら、それなりの収入を手にしているでしょう。ハタチそこそこの頃と比べたら、月に一度か二度、外で贅沢な食事をするくらいの余裕ができているはずです。そうなったいまこそ、一流の店で食事をすることの快楽をおぼえる絶好の時期です。

「よいものの価値がわかる賢い女がいい。わかっていない女はつまらない」というのは男の本音です。ことに、仕事のできる男性、お金持ちの男性が思わず目をとめるのは、よいものの価値がわかっていそうな品格ある女性です。ちょっとした言葉遣いや態度に品格があるかないか、それはその人自信がどれだけよいものに触れ、どれだけ吸収してきたかにかかっています。

「私は必ず裕福になっていく。年々収入がアップしていく」という将来ビジョンを選んだ女性は、そのビジョンに沿った豊かな人生を歩むことができます。これまでそうならなかったのは、ビジョンを選んでいなかったからです。

自分の限界をはるかに超えるものを選んだ瞬間、意識は大きく変わります。意識を被っている殻がはじけ飛び、一点の曇りもなくスカッと晴れ渡った「快」の意識が広がって、目の輝きが変わります。顔の表情もとてもイキイキとしてきます。大きな目標をもっている人は強力なオーラを放つとされるのは、こういう理由があるからです。

「私はこの仕事を通じていろいろなことを学び、成長していくことができる。授業料を払ってもいいくらいなのに、お給料までもらっている。本当にありがたいことだ」とつねに快を覚えて仕事に取り組んでいる人は、毎日必ずよい結果を出し、成功を積み上げていくことができます。

どうすればセレブリッチにふさわしい素敵な家に住み、素敵なライフスタイルを確立できるのか。セレブリッチな人々を出会うためにどうしたらよいのか。あなた自身はまるでわからなくても、脳はその答えをちゃんと遺伝子の中から見つけ出します。
必要な情報が揃うと、脳の中で情報がうまくブレンドされ、「ひらめき」や「直感」という形でサインが送り届けられます。

女性が生涯変わらずにお金持ちでい続けるための最も確実な方法は、自分の能力を使ってセレブリッチになることです。
まず、自分がセレブリッチになり、お金まわりのよいセレブリッチな男性と結ばれると、相乗効果で大金持ちになっていくことができます。

贈り物をするのは、相手に喜んでもらうためです。相手に喜んでもらうのは、自分のためです。「だから自分のために贈り物をするのだ」と発想を切り替えてみてください。

セレブリッチな人生を目指す女性がお金の力を使って発展途上国の人々を支援するというのは、なんら矛盾する行為ではありません。
お金は、問題解決するための強いパワーを持っています。そのお金をたくさんてにすることに意欲的な女性が、自分の能力を全開にして財をなし、少しでも世の中の役に立とうと、私財を投じて社会貢献をはかっていくのです。これは賞賛に値する行為です。

人に喜ばれることをして、「やってよかった。本当に嬉しい!」と感動しているときは、最高級のβエンドルフィンが分泌されます。それはなんとモルヒネの約500倍もの鎮痛効果を示す、まるで麻薬のような快楽ホルモンです。


目次

プロローグ
第一章 金持ち男に好かれるのが「いい女?」
第二章 セレブコースに乗る女性はここが違う!
第三章 お返し美人、贈り物名人が幸せになれる理由
第四章 もてなし上手な女性が愛されて幸せになる
第五章 もっと「ハイグレードな女」になるためのレッスン
第六章 あなたを成長させる人との出会い方、関わり方

チャイルドスポンサーシップという貧困の子どもを支える素晴らしいシステムもあります。

そろそろホントの恋をしなさいよ

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメはファッション評論家、シャンソン歌手のピーコ氏の『そろそろホントの恋をしなさいよ』です。同性愛者である著者は必然的に片思いであることが多く、成就しない多くの恋をしてきたからこそ、人の痛みを受け止められる度量を感じさせる1冊です。テレビのコメントなどでは極端な発言を求められるポジションですが、実際はにとても繊細な感性の持ち主であることが窺えます。
自分よりも誰かを愛するということの素晴らしさを説き、いいオトコ、いいオンナの本質を見極める目を養うことを勧めています。一見乱暴な物言いの中に、人に対しての愛を湛えた静かな情熱が感じられる、著者のキャラクターで勝利している本といえます。


アンダーラインポイント

だいたい、モテたいというのはたくさんの男にちやほやされたい女ってことでしょ。
それって“私は男が欲しい!男の身体が欲しい!”って証明しているみたいじゃないかしら。

成就する恋なんて、子供子供なのよ。好きな人のために諦める恋っていうのは、日本には昔からあったの。現在はそんな美しい恋をする女は皆無かもね。「ジコチュー」の女が多いから。自分から身を引く愛は美しいものなのよ。

ひとりで生きることが素晴らしいから、ふたりで生きることがもっと素晴らしいと感じないと、恋なんていうものは輝かなくなっちゃうんじゃないかしら。

権力や金のある人間だって、悩みや苦しみがたくさんあるの。貧乏で明日の食べる物さえない人でも、悲しみだけでなく、喜びがあることを教えてくれるのが1冊の本だと私は思うの。

本当のいい男って、あんまり女を縛らないって思っているの。だって、妻になった女の人に対して、ああしてはいけない!こうしろよ!っていうような男は、一瞬は男らしく見えるけど、意外と心は小っちゃそうなのよね。

貴方が彼にとっては一番居心地がいいんだから。一度や二度の浮気でオタオタするなんて、自信の無い証拠なの。でも一生自分だけ愛して、なんて弱味を見せては駄目よ。

本当のオシャレっていうのは、削ぎ落とすことなの。いろいろなものを足していくことじゃないの。シンプルにシンプルに引き算をしていくことが、オシャレの基本のキなのね。

私は60何年も生きてきて、たったひとつだけ確信を持っていえることは、相手に何かを望まないということ。支え合えるなんていうことはないの。支えようと思ったら、一生支え続けることだけなの。

相手から何かしてもらおうとか、お返しをもらおうとか思わない人だけが、一生人生の伴侶を得るのかもしれないわね。


目次

はじめに
第一章 恋にまつわる「世間の常識」と「ピーコの真実」
第二章 男っていうのはね
第三章 “恋愛未満”のあなたへ
第四章 恋と××
第五章 人生を変える恋のしかた

優しいオトコは誰にでも優しくても仕方ないと思っています

女子の本懐

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメはエジプト国立カイロ大学卒、キャスターを経て、現在衆議院議員、元環境大臣、防衛大臣の小池百合子氏の『女子の本懐』です。
本書が出版されたのが2007年10月20。今もっともニュース番組を賑わしている元防衛省事務次官の守屋氏のスキャンダルが発覚する直前であるところが興味深いです。
すでに著者はかなり以前から、守屋氏への職務を逸脱した権力の集中に気づき、確たる方法で、交代人事を準備していた。にも関わらず、マスコミに情報を抜かれたおかげで、周知の辞任劇に至ったのです。詳細ないきさつが語られているところも一読の価値ありです。
女性初の防衛大臣に任命されたことを誇りに思い、職務を全うしようと尽力をしてきた著者の姿が印象的で、こういう人物こそ、重責を担うのに相応しいのではないかと、残念に思います。そして、圧倒的な男性社会の中で、女性で若く、人気があるという“デメリット”を持ちながらも戦後レジームの塊であった防衛省・自衛隊に新しい風を吹き込むべく立ち向かった55日間は、意味のあるものであったと国民の一人として思いたいです。
端的に面白い。特におススメの1冊です。

アンダーラインポイント

平成19年度の防衛白書についての説明を受けたが、すでに刷り上った白書の冒頭の挨拶文と写真は久間大臣のものだった。
「これは久間大臣の卒業論文なのだから、このままにしましょう」
私の言葉に、担当者は安堵の表情を見せた。
モノ分かりのいい大臣は、「操縦しやすい大臣」として役人の間では歓迎される。ただし、役所へのモノ分かりのよさと、国家運営として必要な決断は、時として異なる。このあたりの対極的な判断こそが、大臣の仕事だと、私は考えている。

防衛大臣の強みは自衛隊という実行部隊を有し、必要に応じて、それを活用できることだ。たとえば今日の横須賀行きには、市ヶ谷の基地からヘリコプターを使う。ただし、天候の具合によっては、ヘリが使えず、陸路で向かうことになる。その場合は、出発時間を早めなければならない。飛ぶか、飛ばないか、その見極めをすることを「決心」と言う。

海上自衛隊では、毎週金曜日の昼はカレーと決まっているそうだ。長期間の航海訓練や、潜水艦での任務において、カレーがテーブルに並ぶだけで、「今日は金曜だ」と認識することができる。

わが国海上自衛隊の存在は、日本国内での自虐的な過小評価とは異なり、何百倍も大きい。的確な作業、高品質の軽油と水の供給は、各国から大いに頼りにされている。憲法の範囲内で可能な最大の任務まで放棄せよという野党の論理は不可解だ。政策というよりは、政権交代を唯一の目的とした国内政局を優先するようでは、いけない。

情報保全と情報収集は、自衛隊にせよ、各国の軍隊にせよ、何よりも優先される事項だ。日本の場合、情報収集面でも、人的、財政的にけっして十分ではない。その分、同盟国などからの情報に頼ることとなる。しかし、情報の共有、提供は信頼関係があってこそ成り立つ。情報保全が十分でない国には、気密レベルの低い情報しか提供してもらえない。情報の出と入りはあくまでセットなのだ。

当然とはいえ、大臣が国会に縛られているうちに、日本の世界におけるプレゼンスはどんどん失われつつある。特に、外務大臣などは、各国を飛び回ってこそ、務めが果たせるのだが、国会答弁に足止めを食っていては、仕事にならない。ある議員は、営業活動ができない営業担当副社長が、株主総会ばかりに出て、株主から「営業しとらんじゃないか」とお叱りを受けるようなものだと、表現していた。

そもそも、この人事案は、九月一日から防衛施設庁が廃止、防衛省に統合され、新しい組織へと生まれ変わることに伴うものである。省内でも三千人近くが異動することにつながる大改編だ。九月一日からのスタートを考えると遅すぎるくらいであった。以前から、この組織変更のために一日も早く人事に手をつけましょうと言ってきたのは、守屋氏本人であった。ただし、自らの事務次官続投を前提とした人事案しか示さなかった。

役人にとっては人事がすべてだというが、役所の仕事は国を守ることである。

これで私のワシントン訪問はすべて終わった。
破格の待遇は、プラス、マイナスだろう。日米関係の強化にはプラス、嫉妬の世界である永田町ではマイナスだろうか。女ヘンの二文字「嫉妬」を男ヘンに変えてほしい。

守屋次官も官邸を自由に泳ぎまわり、私の人事案阻止を訴えていたという。有力政治家のもとを訪ね歩いているとの話も聞いた。たとえ「人事検討会議」なる装置があるとしても、大臣である私の人事案に、法律的には自衛隊である次官、それも本人が異を唱えるのは、シビリアン・コントロールに反しないか。

次官退任後は顧問を務めるように要請すると、「顧問では生活できない」という。そのストレートなもの言いに、私は返す言葉がなかった。

このように人事問題は、ありもしない話しが一人歩きする情報戦の様相を呈していた。市ヶ谷のコップの中で情報戦に励むより、某国がきりきり舞いするような情報戦に智恵とエネルギーを向けろ。自己防衛よりも、国家防衛に励め。そんな思いにかられた。

目次

はじめに
第一章 いざ防衛省へ
第二章 「ひとり2.26」との攻防
第三章 一兵卒として
おわりに
戦国時代の攻防も嫉妬から始まった戦が多かったのも事実。オトコの嫉妬は恐ろしい。

あなたが世界を変える日

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメは11年前のリオ・サミットで当時12歳の少女が世界の首脳を前にしてスピーチをし、自然が大好きで、地球を守りたいと思って活動しているセヴァン・スズキの感動的なそのスピーチのすべてをそのまま本にした『あなたが世界を変える日』です。セヴァン・スズキのそのことばは、人々の強い感動を呼び、世界中をかけめぐり、いつしか「リオの伝説のスピーチ」と呼ばれるようになりました。「私たちひとりひとりの力が世界を変えている」ということを、いまも世界中に伝え続けている少女の言葉をひとりでも多くの日本人に読んで欲しいと思います。
環境を考える現代人にはまず、最初に触れて欲しいマインドの1冊です。


アンダーラインポイント

オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。
死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、あなたは知らないでしょう。
絶滅した動物をどうやって生き返らせるのか、あなたは知らないでしょう。
今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのか、
あなたは知らないでしょう。
どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。

「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、食べものと、着るものと、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに」
家もなにもないひとりの子どもが、わかちあうことを考えているというのに、すべてを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。

もし戦争にために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えば、この地球はすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもだけどそのことを知っています。

アマゾンで私が体験してきたように、私たちを幸せにするのはモノではありません。より少なく所有すればするほど、私たちの暮らしはよくなります。私たちはより自由になり、モノにとらわれて、それを追い求めなくてすむ分、働かなくてもよくなり、余暇もできます。そして、人生においてもっと大事なことがらをゆっくり考えるゆとりが出てきます。
そのほうがずっと幸せではないでしょうか。

私たちは自分たちで変化を起こしていかなくてはなりません。私たちこそが「持続可能性(サスティナビリティ:将来の世代に必要なものを犠牲にすることなく、現在の必要を満たすこと)」についての専門家にならなくてはいけないのです。

実は自然こそが「持続可能性」のほんものの専門家なのです。生態系のどの部分をとっても、くわしく調べてみれば、すべてのものが調和の中で動いていることに気づくはずです。

あなたが今いだいている興味や関心や決意が、どのような未来へとつながっていくかはかりしれません。そう、「持続可能性」に向けて活動していくことは、とても大きなチャレンジです。でもそれはこのうえなくやりがいのある仕事です。

ひとつひとつ問い直していきましょう。川辺や海辺がすべてコンクリートでかためられるのはしかたのないことなのか。ゴミがふえつづけ、森が切り開かれ、虫や動物がすがたをけし、アレルギーがふえ、空気が汚れ、水が飲めなくなるのは、しかたのないことなのか。

テレビもコンピューターもマクドナルドもない、いや、それどころか電気も水道もない村の子供たちが、豊かな自然の中で、北米や日本の子どもよりいきいきと楽しそうにしているのはいったいなぜだろう。

世界のリーダーたちを前にあの歴史的なスピーチをしたセヴァンはふつうの女の子だったのです。ぜいたくではないごくふつうの女の子だったんです。ぜいたくではないごくふつうの楽しさが、美しさが、安らぎが世界の希望だと信じている、あなたのようなふつうの子。そんなふつうの子にも、世界を変えることができるということをセヴァンは示してくれました。

生きたオンナの作り方

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメは同志社大学卒業後OL,コピーライターを経て33歳で作家デビュー。その後、浪費生活、ホストクラブ体験などを綴ったエッセイで人気を不動のものとしている、中村うさぎ氏の『生きたオンナの作り方』です。
私も大学生時代から週刊文春の連載『ショッピングの女王』で始めて著者の作品に触れましたが、人並みはずれた浪費の嵐に、あきれるやら、感心するやら、でも自分のできないことを実現していく勇姿を応援したりと、複雑な思いで毎週見守っていたことを思い出します。
本書は読者の質問に答える形で展開されていますが、かなり哲学的、論理的、中村うさぎ的な人生相談で、納得の内容です。人の振り見て我が振り直せで、いつしか自分自身の悩みまでスッキリ解決していることでしょう。長年著者の作品と慣れ親しんできた人には、著者の人物的な成長を目の当たりにするかなりおススメの1冊です。


アンダーラインポイント

おそらくふたりは、自分の「不足」あるいは「過剰」を持て余しているのですね。もうちょっと情熱があれば溌剌と生きられるのに、あるいは、もうちょっと情熱を抑えられれば楽になるのに、と、思っている。人並み、ほどほど、中庸。そういった状態に憧れている。「不足」もイヤだし、「過剰」もイヤ。中くらいがいいな、と。
でも、と、そこで私は考えます。「中庸」ってそんなにいいものでしょうか?人並み(どれくらいが「人並み」なのか知りませんが)ってそんなに幸せなことでしょうか?そもそも人は、「中庸」である必要なんて、あるのでしょうか?

もちろん我々プロですから、真剣に作品に取り組んでますよ。でも「好きなのか」と言われたら微妙だね。「好き」なのではなく、「仕事」だからこそ、プロのプライドを賭けて書くのです。人は情熱によって物事を継続させるのではありません。義務感や責任感によって、継続させるのです。
君が「やる気」を持続させられないのは、「やる必要がない」からだ。必要のないことを、無理に続けることはない。

あなたには、これといった欠点がなさそうだ。そこそこ美人だし、そこそこモテるししつこくもないし非常識でもないし、きっとワガママでもバカでもないでしょう。しかしですね、あくまで「欠点がない」ことであって、あなたの「長所」ではない。
つまりね、あなたが「特に欠点のない人」だとしたら、それは「特に長所もない人」なんですよ。言ってみりゃ「無難」、さらに言えば「没個性」。個性のない人はそりゃ飽きられやすいかもしれないなぁ。

結局、我々は、相手の心の中など、とうてい理解できんのです。理解できないもの同士が、手探りで相手を求め合う・・・それが「恋愛」。そして、指先が相手に触れたと思って、たぐり寄せてみれば、それは「自分自身」だったりする。恋愛を通して我々が出会うのは、じつにこの「自分自身」なのですよ。よく知ってるようで、じつは知らない自分自身。だからこそ「恋愛」は、己を知るための武者修行、と言ったのです。

そうなんですよ、A子さん。人間関係に必要なのは、「自己への批判力」と「他者への想像力」です。このふたつを欠いたまま年を取ってしまった人間が、今さらそんな基本的な能力を訓練して身につけるのは大変です。大変だけど努力してみようと思うなら、あなたはまだ見どころがある。頑張って欲しいと、心の底から応援します。

A子さん、「どうしたらゴミを捨てられるでしょう」ではなく、「どうしたら今の気持ちを整理できるでしょう」という質問をしたからには、もうあなたはわかっていますね。これが「ゴミ」の問題ではなく、「自分」の問題だということに。ここがわかってない人は、「どうしたらゴミが捨てられるか」という方向に悩んでしまうものなのです。つまり「原因」の解決ではなく、「現象」の解決に目が行ってしまうワケですよ。

で、あなたの「験かつぎ」。これは、心理学者に訊くまでもなく、間違いなく「あなたの不安」の一表現です。私が「性格でなく、心の現象」と言ったのは、そこね。あなたの心の状態・・・すなわち不安定な状態が、そういう形で表出しているに過ぎないのです。これを「性格」の問題というのなら、「オカルト物に頼りやすい→他力本願」な傾向こそがあなたの「性格」と言えるのでしょうが、しかしその若さで他力本願なのは無理もない。自立して初めて、人は「自力本願」力を身につけるのですから、自分の「他力本願」に今はクヨクヨする必要なんかないのです。

『整形とは、美人になることではない。自分の顔を好きになること、なのです』私はこの文章の冒頭で、「綺麗になるためなら、耳の痛みくらい我慢してみせるわっ!」と大見得を切りました。そうです、私は綺麗になりたい、美人になりたい。だから痛い想いまでして整形なんかしちゃうワケですが、その先にあるのは夢にまで見た「美人顔」ではなく、あくまで「自分の顔」に過ぎないのです。ここを間違えると、永遠に整形をくり返したところで、人は幸福にはなりません。

私にとってのテーマは、じつは「美人になること」なんかじゃないんだ。「自分の顔」を少しでも好きになりたいだけなんだよ、と。自分の顔を好きになるには、ドクターにお任せじゃいけない。自分で自分の顔を、いや、その根底にある「自己嫌悪」をこそ、積極的に見つめ直さなくてはいけないのだ、と。


目次

○ うさぎの人生論
第1回 そもそも「中庸」である必要なんてあるのか?
第2回 恋愛とは、欠点ある女と欠点ある男の武者修行
第3回 「人間は変わらない」という前提からの幸福論
第4回 私たちが生まれてきたのは自分らしく生きるためじゃん
第5回 あなたは無味無臭の人間になりたいですか?
第6回 ゴミを捨てられない女と縁起をかつぐ女
○ うさぎの幸福論
第7回 己を知ろうとすることが、人生のテーマだと思う
第8回 愛も友情も消費行動に過ぎない
第9回 セックスと真面目に向き合うことは、自分と真面目に付き合うこと
第10回 人生、虚しくなった?それは困りましたね!
第11回 他人の指図で不幸になるより、やりたいようにやって不幸になりたい
第12回 自分を知ることほど難しいものはない・・・
最終回 人生に「これが正解」と言えるものはありません
解説比類なき人生相談のテキスト 小倉千加子

下を向いて生きよう

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメはオレゴン州立大学で生物学を専攻し、株式会社リクルートを経て株式会社ワイキューブを設立した安田佳生氏の『下を向いて生きよう』です。すでにベストセラーになっている『千円札は拾うな』などインパクトのあるタイトルで、常識に挑んでいる姿勢が新鮮です。むしろタブーとされてきた「下」と比べるという概念は、実は人生を楽しく、自分のペースで進んでいく秘訣なのかもしれません。勝つことを目的としない人生の楽しみ方がここにあります。


アンダーラインポイント

百点という「絶対値」では幸不幸は決まらない。
幸不幸を決めているのは「相対評価」なのだ。
人間社会はすべて比較論で成り立っている。
よく「人は人、自分は自分」と言われるが、現実的にはそんなふうに達観することは不可能に近い。人間というのは、他人と自分を比べずにはいられない動物だからだ。

日本人に生まれて日本語が話せることに喜びを感じる人はいない。同じように生まれたときから英語を話している人にとっては、英語を話せることが幸せなのではなく、英語が話せるようになったことが幸せなのだ。しかし、この「できるようになった喜び」は一生続くわけではない。できるようになってしばらくたつと、できるのが当たり前になってしまうからだ。
実はこの「当たり前」という感覚も、人から幸せを奪う実にやっかいなものである。

適度な不便、適度な不満、適度な不幸があるからからこそ、人は喜びや幸せを感じられる。つまり、人生の喜びはそうした「欠けた部分」にあるということだ。

コレクションがコンプリートしてしまったら、喜びはそこで終わってしまう。あと少し。百パーセントを目指しているのにあと一パーセント届かない。人間にとって最も幸せな状態は、この届きそうで届かない状態なのではないだろうか。

嫌われたこと。挫折したこと。失ったこと。逃げたこと。遠回りしたこと。それらすべてが、絵になる人生のワンシーンとして生き生きと蘇ってくる。
失敗と挫折ばかりの自分の人生が、実は絵になる素敵な人生だったと思えたとき、私は他人の性向がうらやましくなくなった。

人生はアートに似ていると思う。
芸術には「成功」も「失敗」もない。
あるのは「好き」か「嫌い」かだけだ。

ベンチャー企業の経営者の中には、ビル・ゲイツを目指している人もいるが、ビル・ゲイツなんか絶対に見てはいけない。そもそも彼を同じ人間だと思うからいけないのだ。
私に言わせれば、ビル・ゲイツはNASAがつかまえた宇宙人である。

山登りの楽しさは、高いところから下界を見下ろすことにある。
同じように、人生の喜びや達成感も、自分より下を見たときに得られる。「俺は運がいい」と思えるのは、自分より運の悪い人を見ているときだけだ。
幸せは相対評価で決まるので、立ち位置は同じでも、どこを見ているかによって違ってくる。

人は何のために上を目指すのか?
本当は幸せな人生を手にするためであるはずだ。
それがいつの間にか「上を目指して進むこと」自体が目的になってしまい、「幸せを感じること」が二の次、三の次に追いやられてしまっている。

自分の幸せに関わっている部分では、努力をして階段を上がっていくことは大切だが自分の幸せに関わっていない部分では、負けてもいいというのが私の持論だ。


目次

1章 「人は人、自分は自分」というウソ
2章 負け上手は、比べ上手
3章 流され上手は、生き方上手
4章 忘れ上手は、幸せ上手

ドレスのデザインにしても「成功」も「失敗」もなく「好き」か「嫌い」かしかないのは確かです。

戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会の作り方

こんにちは西村有紀子です。今日のおススメは反原発運動から環境問題に入りさまざまなNGO活動に関わっている田中優氏の『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会の作り方』です。世界が使っている1年分の軍事費を、様々な飢餓地域の食料、地雷撤去、途上国の債務返済など人々を生かし合うために使っても200億ドルものおつりが来るといわれています。戦争、環境破壊、貧困、はすべてつながっており同義語なのです。
テロリスト制圧という大義名分の下繰り広げられる、石油資源争奪戦。私たちの知らなかった、“大人の事情による国家間の商売”の実態が明らかにされています。
もはや目を逸らせてはいけない、世界の実情を知るために必読の1冊です。衝撃の事実に耐えられるか・・・。


アンダーラインポイント

2004年12月26日、インドネシア・スマトラ島沖を震源地とする巨大地震によって、インド洋沿岸各国を大津波が襲った。インド洋に浮かぶ「ディエゴガルシア島」という小島にある米軍基地だけは、ほとんど人的被害がなかったという。なぜならディエゴガルシア島の米軍基地にだけは「米国海洋大気管理局」によって、津波発生と同時に警報が発せられていたためだ。しかし海軍は電話を取って、他の地域の国々に警告を発することはしなかった。

かねてからインドネシア近海を含めインド洋に、もう2基の津波測定器を置くことを要望していたが、その計画には資金が出されなかったという。アメリカはなぜ、人々を何万人も救うことにつながる5000万円ほどの設備にカネが出せなくて、数万人を殺す軍事費に、その百万倍もの資金を出しているのだろう。

個人としての私たち自身は取るに足らない存在だ。とても大きな問題に思える戦争や環境破壊に対して、解決の手がかりをもっているとは思えない。しかし私たち市民は、問題との間にいくつかの接点を持っている。貯金や買い物、投票行動や生活するためのエネルギー消費などだ。接点と言うよりは間接的に問題を解決する責任を負っているというべきかもしれない。

権威あるイギリスの医学誌『ランセット』がすいていしたところによれば、「2002年3月のイラク戦争会戦後、03年2月までに、米軍の武装ヘリコプター攻撃によるイラク人の死者数が、女性や子どもを中心に10万人を超えた」そうだ。しかもこれには2回のファルージャ攻撃が含まれていない。
知ってしまった人は他の人に知らせたくて、インターネットでさかんに紹介している。しかし一方で人々は悲惨すぎる情報を受けたがらない。だから戦争の現実が見えてこないのだ。

しかし現実にイラクに生きている人にとってはどうだろうか。さしたる理由もなく
親兄弟を殺され、しかもその事実を「ウソだ、テロリストだったからだ」という一言で否定される者にとっては。
もし殺された者の子が、事件後に生き延びることがあったら、その子は何のために生きようとするだろうか。無視した存在を抹殺するために生きようと思うのではないか。それこそまさにテロリストの誕生だ。「テロとの戦争とは、テロリストを量産するための仕組みとなっているのではないか。

しかし「石油、エネルギー問題」であれば、論議するまでもなく、アメリカ国民が参戦するに足る「国益」にかなうことなのだ。イラクに侵略し、北朝鮮には手を出さない理由が、「有望な油田がないから」と言うのもあながち冗談とも思えない。

よく日本の公共事業を批判する時、その引き合いに「アメリカはダムを止めた。さすがに公共事業に対する反対運動に歴史がある」と言われるが、冗談ではない。アメリカの公共事業は戦争なのだ。国民の20人に1人が常に軍需産業関連に雇われている。

戦争から得られる利益を無効化しない限り、世界の紛争・戦争は続くことになる。紛争・戦争には冷徹なビジネスと利潤の世界が横たわっている。よく言われる「心の平和」というような感傷・感情論が通用する舞台ではない。

地震国に原発を建てること自体がまったく非常識で、地震を含めた保険加入は不可能だったのだ。そのため日本の原発保険は、今に至るまで地震を免責したままだ。つまり地震による原発被害に保険は支払われない。今予想されている東海大地震の震源地の真上には、老朽化した浜岡原発が稼動し続けている。

実は排出される二酸化炭素の約半分が、たった200事業所から出されたものだ。200企業ですらない。


目次

まえがき
第一章 戦争の原因はエネ・カネ・軍需
第二章 地球温暖化の問題
第三章 エネルギーをシフトする
第四章 カネの問題
第五章 別なカネの使い方
第六章 新たな社会へ
僕の実行提案リスト
献注
おわりに

「ライフスタイル」や「心の平和」というような内的世界の話どころではありません!